3月例会(第609回)

3月例会学習会『画家から見たゴッホ絵画の凄さ』3月4日(月)午後7時~8時30分
 講師:旗谷吉員(よしかず)さん (神戸芸術文化会議会員、画家)
  会場:グストハウスギャラリー(映サ事務所の地階)
  参加費:会員500円(会員外1000円)

ゴッホが生涯をかけて伝えようとした、〈この世の美しさ〉を体感する―

 『永遠の門 ゴッホの見た未来』はゴッホが過ごした南フランスのアルルでの様子と、アルルを離れて再びパリ近くの町オーヴェルで生涯を終えるまでの生きざまを描いた作品である。作品が世に理解されずとも筆を握り続けた不器用な生き方を通して、多くの名画を残した天才画家が人生に何を見つめていたのかを描き出していく。
 その映像は豊かで美しい。糸杉は風をはらみ、黒い雲はうねり、麦畑はオレンジ色に輝く。ゴッホが対象物のどの部分に意識を集中させているかを表すために、映像に工夫を凝らしている。
 ゴッホは、知的で繊細で孤独で、人や酒に依存しなければ生きられない弱さを抱えている。が、この映画で最も強調される性格は、伝道師としての使命感だ。神なる自然の中に宿る美を解放し、永遠の命を宿す絵画に変え、人々に知らしめる。その使命を果たすために自分は存在するのだという揺るぎない信念を、彼の瞳は湛えている。
 この作品を通して私たちはゴッホが生きた時代と人々、風景に出会い、彼の生きた人生を追体験し、彼が伝えようとした美しさを体感する。

美術史上最も重要かつ人気の高い画家の一人、フィンセント・ファン・ゴッホ。
生前に才能を認められず、孤独と共に生きたドラマティックなその人生は…

 「潜水服は蝶の夢を見る」のジュリアン・シュナーベル監督が画家ビンセント・ファン・ゴッホを描き、2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で、ゴッホ役を演じた主演ウィレム・デフォーが男優賞を受賞した伝記ドラマ。画家としてパリで全く評価されないゴッホは、出会ったばかりの画家ゴーギャンの助言に従い南仏のアルルにやってくるが、地元の人々との間にはトラブルが生じるなど孤独な日々が続く。やがて弟テオの手引きもあり、待ち望んでいたゴーギャンがアルルを訪れ、ゴッホはゴーギャンと共同生活をしながら創作活動にのめりこんでいく。しかし、その日々も長くは続かず……。作品が世に理解されずとも筆を握り続けた不器用な生き方を通して、多くの名画を残した天才画家が人生に何を見つめていたのかを描き出していく。

監督・共同脚本:ジュリアン・シュナーベル

 1951年10月26日、アメリカ・ニューヨーク生まれ。65年テキサスに移り、73年ヒューストン大学で美術の学士号を取得する。その後、ニューヨークに戻り、78年に旅したバルセロナでアントニ・ガウディの建築物に心動かされ、初めて絵を描き、創作活動を開始する。79年にはニューヨークで初の個展を開き、その後も世界各国で展覧会を開く。彼の作品は、現在も各地の現代美術館でコレクションとして収蔵されている。映画監督デビュー作は、80年代にニューヨークで共に活動し、27歳の若さで亡くなった画家ジャン=ミシェル・バスキアを描いた『バスキア』(96)。その後キューバ出身の亡命作家レイナルド・アレナスを描いた『夜になるまえに』(00)でヴェネチア国際映画祭審査員特別賞と主演男優賞(ハビエル・バルデム)を受賞。監督3作目となる『潜水服は蝶の夢を見る』(07)では、カンヌ国際映画祭監督賞、ゴールデン・グローブ賞監督賞と外国語映画賞を受賞。その後も『ルー・リード/ベルリン』(07)や『ミラル』(10)を監督。音楽活動も行うなど、多方面で才能を発揮している。

宣伝チラシ:A5判両面(2色刷り)2/19以降 シネリーブル神戸などに置きチラシ