5月例会(第611回)
ダーク・ウォーターズ
巨大企業が恐れた男

5月25日(土)①11:30 講演14:00-15:00 ②15:15 ③18:00
神戸朝日ホール
今後の例会、学習会(トップページ)

映画と講演 『PFAS(ピーファス)て何?  ―私たちの周りの汚染―』———–
 小泉昭夫先生(京都大学名誉教授/社会健康医学福祉研究所所長)
  ▢会場:神戸朝日ホール ▢講演日時:5月25日(土)14時~15時
  映画をご覧になる方は無料で参加できます

すべては1本の新聞記事から始まった—
全米を震撼させた実話に基づく衝撃の物語

2016年1月6日のニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたその記事には、米ウェストバージニア州のコミュニティを蝕む環境汚染問題をめぐり、ひとりの弁護士が十数年にもわたって巨大企業との闘いを繰り広げてきた軌跡が綴られていた。そしてこの驚くべき記事は、マーベル・シネマティック・ユニバースのブルース・バナー/ハルク役で絶大な人気を博した実力派俳優マーク・ラファロの心を動かした。環境活動家でもあるラファロは、プロデューサーも兼任して映画化に向けて動き出した。ロブをスーパーヒーローでも聖人でもない生身の人間として体現し、観る者の深い共感を呼び起こす。世界有数の化学企業を敵に回したことで生じる強烈なプレッシャー、公私両面の凄まじいストレスなどの“正義の代償”を伝える一方、弱き者を救おうとする弁護士の揺るぎない信念を感動的に演じきった。人命さえ脅かす化学物質の存在が身近な恐怖として描かれ、闇の中の真実をひたむきに追求するロブの姿から目が離せない。

神戸ほんまの文化都市にする会 「むこう」187号2月20日より

《「世界」を広げる大きな窓》   神戸映画サークル協議会 桑田葉子

 映画は娯楽であり文化でもあります。映画は私にとって「世界」を広げる大きな窓です。
 作品と出会って社会の問題に気が付くこともあります。5月例会『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』はそういう作品のひとつです。この映画は有機フッ素化合物(PFAS)による環境汚染を認めさせるため、デュポン社を相手に戦った弁護士の物語です。
 2022年秋に『ダーク・ウォーターズ』を観た時、描かれる健康被害の様子が衝撃的でした。舞台となったウェストバージニア州の化学工場周辺で住民に下血や肝臓がんが相次ぎ、2001年、住民3500人がメーカーを提訴したという実話の映画化です。
 「PFAS問題は私たちの生活に関係あるの?」という疑問を自分なりに調べ、小泉昭夫さんの著書に出会いました。そして大阪市周辺は河川と地下水の汚染が深刻で、とても身近な汚染物質だと知りました。
 私たちの生活はPFASに支えられているといっても過言ではありません。防水スプレー、フライパンや鍋のフッ素樹脂加工、ハンバーガーやピザなどの包装紙、はてはファンデーション、マスカラ、リップなどの化粧品にも使われています。今問題になっているのは、工場や軍の基地から排水と共に放出された高濃度のPFASです。これらは、長く環境中に残り、地下水や河川水から取水した水道水を通じて、ヒトの体内に取り込まれ健康影響や発がん性の恐れがあるということで、世界的に規制が強められています。
 現在は神戸市西区でのPFAS汚染が調査で明らかになってきています。国の定めた水道水の基準値超えで、対策に追われる自治体もあり、今後調査が進むとより問題が深刻になるのではないかと私は危機感を持っています。
 しかしながら、神戸市や明石市在住であっても、その事を全く知らない人がとても多いのです。だからこそ、映画という素材を生かし市民の関心を深めることもできるのではないかと感じています。
 5月例会『ダーク・ウォーターズ』上映とともにPFAS問題の先駆者である小泉昭夫さんの講演を予定しています。今回の「映画と講演」の企画は多くの方に参加いただくことで、この問題への関心を深めるひとつの機会にしたいと思います。