4月例会(第610回)

【解説】 北マケドニアの小さな町を舞台に、女人禁制の伝統儀式に参加してしまった女性が巻き込まれる騒動を、オフビートな笑いにのせて描いたドラマ。北マケドニアの小さな町、シュティプ(下記に掲載)に暮らす32歳のペトルーニャは、美人でもなく、太めの体型で恋人もおらず、大学を出たのに仕事はウェイトレスのアルバイトしかない。ある日、主義を曲げてのぞんだ面接でも、セクハラを受けたうえに不採用になってしまう。その帰り道、ペトルーニャは地元の伝統儀式に遭遇する。それは、司祭が川に投げ入れた十字架を男たちが追いかけ、手に入れた者には幸せが訪れるというものだった。ペトルーニャは思わず川に飛び込み十字架を手にするが、女人禁制の儀式に参加したことで男たちから猛反発を受けてしまい……。2019年・第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、エキュメニカル審査員賞ほかを受賞。監督は旧ユーゴスラビア(現・北マケドニア)出身で、これが長編5作目となる女性監督テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ(写真を下記に掲載)。
原題:Gospod postoi, imeto i’ e Petrunija(神は存在する、彼女の名はペトルーニャ)

 1974年旧ユーゴ(現 北マケドニア)スコピエ生まれ。芸術一家に生まれ、子役としてキャリアをスタート。絵画とグラフィックデザインを学んだ後、ニューヨーク大学のティッシュ芸術学部で映画の修士号を取得。監督デビューは2001年の短編『VETA(原題)』(ベルリン国際映画祭審査員特別賞受賞)。初の長編『HOW I KILLED A SAINT(原題)』(04年ロッテルダム国際映画祭タイガー・アワード・コンペティション部門)は、弟のヴクと妹のラビナとともに立ち上げた製作会社「シスターズ・アンド・ブラザー・ミテフスキ」の下で製作された。次の『I AM FROM TITOV VELES(英題)』(07)はサラエボ映画祭審査員特別賞を受賞、トロント国際映画祭(ディスカバリー部門)、ベルリン国際映画祭(パノラマ部門)、カンヌ映画祭(ACID部門)に選出された。続く『THE WOMAN WHO BRUSHED OFF HER TEARS(英題)』(12)、『WHEN THE DAY HAD NO NAME(英題)』(17)もベルリン国際映画祭(パノラマ部門)でプレミア上映された。本作『ペトルーニャに祝福を』(19)は、ベルリン国際映画祭のコンペティション部門でエキュメニカル審査員賞とギルド映画賞をW受賞、多くの映画祭で評価された。
 現在は、ベルギーのブリュッセルで息子のカエリオクとともに暮らしている。また、「シスターズ・アンド・ブラザー・ミテフスキ」はヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の『読まれなかった小説』、ダムヤン・コゾレ監督の『NIGHTLIFE(原題)』、クリスティ・プイウ監督の 『SIERRANEVADA(原題)』などの作品に共同プロデューサーとして参加している。

ロケ地:シュティプ
 シュティプ(マケドニア語: Штип/Štip)は、北マケドニア共和国東部地方の都市で、東部地方では最大の都市域を形成し経済、産業、娯楽、教育など周辺自治体にとって中心的な都市である。2002年の国勢調査によるシュティプ自治体の人口は47,976人である。シュティプは北マケドニア共和国では最大の織物生産の中心で、ファッションの中心でもあり北マケドニア東部では唯一のゴツェ・デルチェヴ大学がある。1925年に北マケドニア共和国で最初にオペラが公演された都市としても知られる。