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2016年3月例会『飛べ!ダコタ』

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解説

 『飛べ!ダコタ』は70年前、日本の敗戦後数ヵ月後にあった実話を映画化した作品です。佐渡島の風景、特に「ノタ」と呼ばれる冬の荒々しい波など海の風景がとても印象的です。地味ですが、映画を見た後、満足を感じていただけるのではないかと思っています。
 出演陣も実力派が揃っており見ごたえがあります。特に窪田正孝演じる健一の姿に惹きつけられました。
撮影は全て佐渡島でのロケ。島民が映画製作の裏方やエキストラをつとめています。子どもからお年寄りまで楽しめ、作品も島の人間をしっかりと描いており丁寧に作られている作品です。

物 語
 日本に原爆が落とされ太平洋戦争が終結してからまだ五ヶ月程しか経っていない昭和21年(1946年)1月14日。日本海に面した新潟県佐渡島にある小さな村の海岸に一機の軍用機が不時着する。イギリス軍のC―47輸送機、通称「ダコタ」。上海のイギリス総領事が東京のGHQを表敬訪問するため日本に向かっていたところ悪天候に遭遇。エンジントラブルを引き起こし、この地に緊急着陸したのだ。乗組員は総領事と同行のイギリス兵合わせ一一名。
 機体から出て辺りの様子を窺う兵士たち。それを恐る恐る遠目から見守る村人たち。彼らの装いから、半年程前まで日本の敵国だったイギリスの兵士だと分かる。
 緊張感漂う中、一人の女性が兵士達に近寄る。村長の娘・千代子(比嘉愛未)だ。心優しい彼女は片言の英語や身振りで兵士達に怪我が無いか気遣い、独断で村人に彼らへの敵意はない事を伝える。
 娘の勝手な振舞いに怒りを顕わにした村長(柄本明)だったが、直ちに対応策を協議しなければならなかった。協議に集められたのは、学校長の浜中(螢雪次朗)や消防団長等の村の役人たち。
 戦争で敵国の兵士に家族を殺された村人の気持ちを汲んで彼らに気遣いするべきではない、と主張する者。反対に、イギリスを含め今日本を占領している連合国軍を刺激しないように彼らを丁重に迎えるべきだと進言する者…。
 皆から結論を一任された村長は、飛行機の修理が済むまでの間、彼らに宿と食料を提供する事を決め、イギリス兵達に伝える。
 兵士の間には「敵だった日本から情けを受けるのは屈辱だ」との意見もあったが、こちらもトップの判断で村の決定を受け入れる事にした。
 次の日から千代子を先頭に、村人達の兵士達へのもてなしが始まる。当初はお互い、恐る恐るぎこちない付き合いであったが、相手も平時は普通の人間で、当たり前のように親切心や感謝する気持ちを持ち合わせ、愛する家族がいる事を知るようになると、心と心とを通わせ交流するようになる…。

 ダコタへの対応を協議する村人たち。その中で村長は決断します。「おれたちは佐渡の人間、佐渡は昔からいろんな人たちを受け入れてきた」と。この「佐野んもん(佐渡の人間)」という言葉が印象的です。佐渡島は流刑になった人たち、それこそ犯罪人から天皇まで受け入れてきた歴史があるのです。だからこそ、数か月前まで敵であったイギリス人であっても受け入れるのだという彼の言葉に彼らの人としての矜持を感じました。そしてその気持ちが国境を越えた心の交流を生んでいくのです。ダコタを浜から動かすシーン。村人が総出でダコタを引っ張る場面では、観ている私も力が入りました。本当にいいシーンです。

 70年前に実際に起こった出来事をもとに作られたこの映画、かつての敵同士がお互いを理解し友情を深め合ったという美談だけでは終わりません。
 千代子の幼馴染で片思いの相手・健一(窪田正孝)の存在も、この作品の大きな軸のひとつです。
 彼は当時のエリートコースであった海軍士官学校に入学するも、怪我を負い退学。そのおかげで出征は免れたものの、戦争で仲間を失います。浜中はじめ大人達からは「お国のために命を捧げる事が名誉だ」との教育を受け固く信じてきたが、敗戦後大人達は「平和が第一。米英とも仲良く付き合いましょう」と豹変する。一人生き残った惨めさと一瞬にして考えを一八〇度変えてしまった大人たちへの怒りで、彼は頑なに心を閉ざすようになってしまいます。
 戦争で教え子達を失った悲しみと、自分の教えで健一の人生を狂わせてしまった事への後悔とに苛まれる浜中。
改めて戦中教育の恐ろしさやそのためにかけがえのない命を失ってしまった方々がどれだけいるのかと思い胸が締め付けられます。
 そして出征した息子の帰りを待つ敏江(洞口依子)の存在も観る者の心を切なくさせます。
 今か今かと息子の帰宅を待ちわびていた彼女のもとについに遺骨と遺品が届けられます。厳しすぎる現実に、彼女は正気を保てなくなってしまいます。
 そんな彼らの姿に、戦争というものがいかに人々の暮らしを破壊してしまうものであるか実感させられます。
 
 イギリス兵達の真の姿を知り、すっかり仲良くなった村人たちは言います。「何であんな良い人達と戦争したんかのう?この戦争は誰の責任なのかのう?」と。村長は答えます。「(私ら大人)みんなの責任じゃ」。
この映画は、国同士の戦争を乗りこえた人と人との絆の尊さを描いていますが、もう一つ重要なメッセージを含んでいるように思います。
 それは、私を含め今生きている大人たちに、現在や次の時代を作る責任の重さを訴えているのではないのでしょうか。大人の判断が誤れば、時を越え再び健一や敏江のような不幸な人達が生まれてしまう。そうならないために、歴史から大切なものを学び取れと、言っているような気がします。
 彼らの心には、夥しい数の死者に加え健一や敏江のような存在を産み出した戦争を止められなかった事への自責の念があったのではないかと思わずにはいられません。この言葉に誰かのせいにしては平和なんかありえないと気付かされました。一人一人が考えて、行動しないといけないのだと改めて考えさせられました。

 そしてこの物語が実話だということに感動してしまうのだ。
 果たして、ダコタは修理を終え、無事佐渡の大空に舞い上がる事が出来るのか?
 ダコタ以上に私たち観客が気になるのは敏江と健一である。敏江は息子の死を受け入れ、心の平穏を取り戻す事が出来るのか?
 健一は己の人生と向きあい、新たなる一歩を踏み出せるのか?
 
 『飛べ!ダコタ』を観終わった後、最後のクレジットで実際の人たちの写真が出てきます。ぜひ、その写真を映画の余韻とともに観てください。そしてシニアはもちろん若い人たちにも見ていただきたいと思います。ぜひお誘いあわせの上、ご覧ください。
(陽)

ひとくち感想

◎大変よかった  ◯良かった  ◇普通  ◆あまり良くなかった  ☐その他

とても感動しました。毎月良い映画をありがとう!!高校生の孫たちを誘ってみましたが、ことわられました。もう一度声をかけてみます。(83歳 女)
新しい日本をつくろう! ダコタのようにみんな力を合わせてがんばろう。(80歳 男)
大変良かったです。(76歳 男)
戦争を違った角度から感じた気がしました。佐渡の海がステキでした。(76歳 女)
わたしの父もインパール作戦で戦死しました。一朝一夕で日本人は気持ちを変えられると批判されますが、まじめな若者ほどむつかしいですね。戦争をすすめられた側から、やめる教育にたずさわる方を選択したことはすばらしい。しかし、彼の時代も終わろうとする日本で、同じ若者を育てなければ!(75歳 男)
初めから終了まで涙が止まりませんでした。「戦争は私達一人一人の問題」村長さんの言葉が心にしみます。今、起こっている日本の「集団的自衛権」問題も根は同じ、国民一人一人の気持次第で、どんなにでも変われるもの。(75歳 女)
初めから終わりまで涙が止まらなかったです。良い映画で良かったです。今後も期待しています。ありがとうございました。(74歳 女)
音声が聞き取りにくかった箇所が有りましたが概して戦争の反省、平和希求が中心でどうぞこの精神がいつ迄も未来永劫続きますように!!(74歳 女)
3月例会の解説もすばらしいですね。これが実話だと思うとおどろきだ。トルコと日本の話にもあるように教科書にとりあげられてもよいのでは。イギリスではどのような扱いとなっているのか、と思う。(74歳 男)
戦争をしてしまうと、心の中の戦闘モードを解除するまでが大変です。反対に戦争モードにはいつの間にか入ってしまっている恐い所があります。(73歳 女)
この映画も和歌山のトルコ戦艦や杉原千畝の話など、いわゆる日本(日本人)にとってちょっといい話が目立ち、その逆が少ない状況というのは少しどうかな?冬の佐渡の荒波は迫力あった。(71歳 男)
いつも思うのですが、実話の力はすばらしいと思ってしまう。佐渡の滑走路をみてみたいと思いました。集団の力のすばらしさを思う。佐渡の精神は日本人の精神だと思います。佐渡弁に字幕スーパーがいるように思いました。時々わからなくなりましたから…。カフェでの「ひとくち感想」の設置good ideaと思います。カフェのカフェ飲み物代でおぎなえますように。(71歳 女)
観たいと思っていた映画で期待通り、とてもよかったです。金も権力もない普通の人々は平和と友好を望む。ただそれを行動に表せるかどうかだ。この映画の実話の佐渡の人たちはすばらしかった。(70歳 女)
さきの戦争直後の佐渡の出来事をベースによく一編の物語に仕上げた。シナリオ作成と映画づくりのスタッフの勝利。感動の作品でした。(70代 男)
いい映画で楽しめました。一部台詞の聴きとりづらい所もありましたが、肝心の村長さんが「戦争は皆の責任なんだよ」のところは、はっきり聴きとれ、これが観る人皆の心に響き、受けとめてもらえることを願いました。神戸初公開の様ですが、この映画を見つけてこられた映サに感謝です。(69歳 男)
実話とはビックリ!とても感動しました。(69歳 男)
ずっとずっと「平和」を大切に守りつづけていく事が「すばらしい事だ」とあらためて確認しました。(68歳 女)
3月11日にこの映画を観て本当に良かった。新潟の人々の素晴らしさ、魂の発露が日本人の人間性の回復のように感じた。荒れ狂う日本海を背景に震災で亡くなられた方々への思いをはせた。(67歳 女)
いいお話でした。全国的に広く上映してほしい映画ですね。(67歳 男)
佐渡の人の人間味あふれる作品にふれて人間の良さを感じた。しかし五ヶ月前まで軍国主義の教育が民主国家建設の教育への身の変わりの早さというか、責任追及の甘さ(この映画のことではありません)が本当に腹立たしい。健一の決意がよかった。(66歳 男)
「戦死した息子の仇でもあるイギリスの空軍兵が母親の元へ帰るように滑走路を作る」この母親の発想が男にはムズカシイ。(66歳 男)
70年前の実話の映画にびっくりし、とても感動しました。小さな島の村の話…。今、戦争法をストップしよう!と私たちも頑張っていますが、もっともっと幅広い人たちに見てほしい映画でした! 日本人の良心にあらためて見直しを!!(65歳 女)
見に来て良かったです。(65歳 女)
思っていたより良かったです。親子の情愛、敵・味方の兵士たちの葛藤など、少ないセリフでうまく、さりげなく描いていてよかったです。劇場公開の時には期間も短く、行けなかったので上映してもらえてうれしかったです。(64歳 女)
佐渡の民衆の優しさに感激しました。日本人全てが佐渡の心を持って欲しい。村長さんの言葉、心に深くしみました。(63歳 女)
このようなことがあったことに驚きました。あらためて、日本人のすばらしさを見直しました。ありがとうございました。(63歳 女)
戦争間もないときの実話に感動しました。人間の本当の心のあり方がよかった。時代がくるわせた大きな誤りは平和を守っていく一人一人の気持ちがつくっていくのだとあらためておもった。(62歳 女)
少し言葉がわかりにくいところがありましたが、そんなことを吹き飛ばす映画でした。当時の人たちもあの厳しい自然の中で熱い心で成しとげたことを、今、映画を作るため大勢の方が力を集められ寒さの中で頑張られたんだと思うと「人間」を讃える映画でした。この映画を選んで下さってよかったです。(61歳 女)
日本の田舎の懐かしい風景。この風景はもう50歳代くらいの人達からわからないのでは。素朴な人達。ほんの少し前まで戦争していた国の人との交流。憎しみと同じ人間としての親子の情と。滑走路を作るという発想に驚き。窪田正孝ファンです。やっぱり実力派ですね。最後は思わず「飛べ!」と思いました。(60代 女)
足をひきずった男性の「自分のような目にあってはならないことを、子どもたちに教えます」のセリフ・シーンが印象に残った。戦争は人の心身をズタズタにするんだといわんばかりに。(54歳 男)
映画が作られていたことも知りませんでした。もっとたくさんの人に見てほしいです。たまに「既に観た映画でがっかり」というような意見もありますが、同じ映画でも二度、三度と観ると新しい発見があって良いものだと思いますよ。映画通の方はそういうことも良くあるようですが、私のような者は今月のように「よくこんな映画見つけてくれました」という事のほうが多いです。これからも、色々な国の」色々なジャンルの映画をよろしくお願いします。(54歳 女)
「戦争をはじめたのは私たち」心にきざみたいです。(51歳 女)
村長の「だれかにだまされて戦争をしたんじゃない、戦争をしたのはおらっち(自分たち)だ」という言葉が印象に残りました。皆が我が事として平和を考えなければいけないんだ、と思います。(50歳 女)
力が入りました。私もきっと飛行機を動かしましたネ。誰かにダマされたと思っているうちは次の戦争は止められない、のメッセージが心に残りました。(48歳 女)
良かったです。(40歳 女)
初めて参加しましたが、とても良かったです。選りすぐり作品を上映されているのだなと感じました。今後も楽しみです!(21歳 女)
戦後の複雑な感情が描写されててよかった。(18歳 女)
国家という巨大なものが介在すると人間は必ずおかしくなる。市民どうし、人間どうしなら互いに分かりあえるのに。

人間同士は心が通じあうものがあっても、国と国との利益で戦は起こる。戦争を起こしたのは私達だという言葉は重い。それを自覚しないと政治に反映されないと思う。(67歳 女)
全然知らなかった史実であり、驚いた。敗戦5ヶ月での話で、昨日までとの気持ちの切り替えは難しいと思った。でも、会って話せば立場こそちがっても同じ想いを持つ人どうしで、戦争はなぜ起きるのかと、単純な疑問を持つ。村長や健一の言葉は、今現在に対して、これでいいのかと問うているようにも思え、時を得た上映だと思う。(67歳 女)
どうしても邦画についてはきびしい目になってしまう。戦後すぐの日本を描き、今日まで続く戦争責任を考えた時、二つのことに引掛った。一つ目は健一の心がなぜ変わったのか、それが突き詰められていないように思う。二つ目は「軍にだまされた」という農婦に対して、村長が「わしら全員の責任」というが、はたして権力機構の中にいる村長と農婦が同等と思えないし、ましてや天皇や大臣には特別の責任がある。これは伊丹万作の言葉が有名だが、私は、あの言葉には賛成できない。「だます、だまされた」というあいまいな言葉ではなく、日本人として戦争の責任をキチンと問うべきというセリフにするべきだ、と思う。(59歳 男)
総出で手助けに向かう村民と対照的に鬱屈した感情で見ていた健一が印象的だった。訓練でケガを負い戦争にも行けなかった事や、戦死した友人への負い目が、割り切れぬ敵愾心に輪をかけ終盤であのような行動をとらせたのかと思うと、心が痛む。(27歳 男)
としえさんが、とてもとてもいい人で、泣きました。(女)
滑走路を作ってるところはローマの軍団が街道を作ってるみたいで面白かったです。『海難1890』を思い出しながら前半は見ていました。エルトゥールル号の海難事故といい、今回のダコタの不時着といい、日本人は、人助けのためにすごく団結していい働きをするのですが、それが、悪い方に働くと戦争へまっしぐらに突き進むあやうさもあると、つくづく思いました。

希望作品『ホール・イン・マネー!』、アメリカで勢力をのばすトランプ氏が行ってきた無茶な開発を告発するドキュメンタリー。(18歳 女)

今の時代にMatchした考えさせられる映画でした。(67歳 男)

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