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2015年5月例会『タンゴ・リブレ』

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解説

人生はタンゴのリズムにのって ~先の読めないステップの妙味

なぜ、彼らは踊るのか
 刑務所という閉ざされた空間。JCは看守としてまじめに働き、規則正しく生活している。それが、何故タンゴなんだろうか。内に秘めたる情熱? 彼とは逆にアリスは刑務所内に夫と愛人が入所しており、その二人に面会に来る。奔放な生き方。タンゴの似合う女性である。そんな彼と彼女が出会い踊る。その踊りから立ち上がってくるのは何なのか。愛情だけではない何かが二人を結びつけ、生きることの力強さが伝わってくる。

あらすじ
 刑務所の看守として、何事にも規則に従って生きてきたJC。趣味といえば週に一度タンゴ教室で踊ることぐらい。ある日、教室にアリスという女性がやって来た。一五歳の息子がいるとは思われない華やいだ雰囲気がある。そんな彼女とJCは踊ることになる。翌日、JCは刑務所内の面会室にアリスの姿をみつける。面会相手は夫のフェルナン。そしてもう一人、夫の共犯者でありアリスの愛人でもあるドミニク。平凡な人生を過してきたJCは、自分のルールに従い生きるアリスに段々と惹かれていった。しかし、看守は受刑者の家族と付き合ってはいけない規則がある。それでも、JCとアリスがタンゴで出会ったことを知ったフェルナンは激しく嫉妬し、自分もタンゴを習いだす。最初は冷ややかだった仲間たちもいつの間にかタンゴに夢中になっていった。

彼女、そして彼ら
 フェルナンは直情的で激しやすい。事件を起こし逮捕される。その相棒がドミニク。彼が妻の愛人であるのをフェルナンは知っているが、なぜか二人は刑務所内で親しく付き合っている。だが、JCとアリスがタンゴを踊っていることには嫉妬する。自分もタンゴを覚えてアリスの楽しみに加わろうとする。フェルナンのこのストレートな愛情表現。アリスはそこに惹かれているのだろうか。
 対照的にドミニクは、感情的にならずアリスへの愛情も細やかで優しい。
 こんな二人に愛されるアリス。特別な美女ではないが、男性の心をたちどころに捉えてしまう。タンゴを踊る時のそのしなやかな動きに目を奪われてしまう。
 アントニオも父に反発しても、家では母を守る愛情深い少年。そんな両親やドミニクと一緒にいる彼にとってJCはどんな男にみえるのだろう。
 JCのこれまでの生活からはかけ離れたこの一家。自分に正直に生き、しかも相手を思いあっている摩訶不思議な調和。彼らを知るほどにJC自身が変わっていく。そう、タンゴの踊りと同じように何かが変わっていく。
 いや、変わっていくのはJCだけではない。アリスは安らぎをみつけ、フェルナンは思いやりを知る。
 ドラマとタンゴが絡み合い、ひとつの物語を創りあげていく。そして、「一緒に行こうよ」の言葉にJCの〝タンゴ〟はダイナミックに変化する。

踊りは心を解き放つ
 「ありえない・・・」と言ってしまいそうな展開にどんどん引き込まれていく。
 まず、目を奪われるのはタンゴの迫力である。男女が情熱的に踊るのとは違った情熱が男二人で踊るタンゴにはあった。演じるチチョ・フルンボリとパブロ・テグリ二人の踊りは画面からその迫力が伝わってくる。闘っているようであり、何かに抵抗しているようでもある。その独特なエレガントさ、しなやかさ。タンゴの新しい魅力に気付かされた。
 刑務所内に楽器が揃っているはずもなく、イスやテーブルを叩き、床を踏みならしてリズムを奏でる。限られた物、限られた空間で表現する踊りに自由への渇望がみえる。
 面会室では幾組もの人々が会っている。刑務所でその面会日を待つ人。様々な手続きをとり会いに来る人。やっと会えた喜び、口喧嘩、沈黙。不器用な人たちがそこにはいる。
 アリスはアントニオを連れてくるが、父親と話そうとはしない。父への反発は父の怒りをかう。それをドミニクは見守っている。彼らはギクシャクしながらも、ひとつの家族として繋がっている。一人で暮らすJCは、そんな彼らをどんな気持ちでみているのか。四人の奇妙な共同体と一人で静かに暮らす男。その五人が出会った時、思いもかけない行動を目撃することになる。
 〝リブレ〟には「自由」や「無償」といった意味がある。囚人役で出演しているダンサーのマリアーノは「タンゴは魂の踊り、心の奥底を表現する。哀しみ、怒り、弱さ、優しさ。タンゴは大地であり血であり、そして自由の舞だ。」と語る。

タンゴの発生について
 タンゴは、ブエノス・アイレス近郊に集まってきたヨーロッパ移民たちの希望や成功、また失敗や挫折を象徴するものとして、一九世紀半ばに船乗りによってもたらされた。キューバのハバネラと共に1850年頃までにラテンアメリカ全土に広まったものを原形としている。
 タンゴは、ごく初期には男性ソロ・ダンスであったものが二人のダンスとなり、後に男女のカップルで踊るようになった。

なぜ、私たちは踊るのか
 現代ほどリアルな世界とバーチャルな世界が共存している時代は無い。インターネットは瞬時に答えを出してくれる。体を動かさなくても機械が用を済ませてくれる。そうして私たちは何を失ったのだろう。触れる感覚、予想外の発見、流す汗―どれも頭の中だけでは得られないものだ。
 しかし、私たちは全て手放した訳ではない。踊ることもそうだ。躍動する姿を目の当たりにする高揚感。また、ヒップホップやブレイクダンス等、今でも人々は踊る。自分を解き放ち、音楽を全身で受けとめる。時代によっては踊ることのみが、自己を肯定する唯一の方法だった。いつの時代であっても踊りで表現する手段を忘れてはいけないし、手離してもならない。
(子)
〈参考資料〉「日本大百科全書⑮」小学館刊

ひと口感想

◎大変よかった  ◯良かった  ◆普通  ◆あまり良くなかった

今迄にない新しい感覚の映画(最終場面)を痛切に感じました。しばらくは心に残るでしょう。(73歳 女)
これで二回目でしたが、やはり最後は笑えました。しょうがない人たちですね。タンゴ、今までのタンゴと違って又良いダンスでした。(72歳 女)
ラストシーンで全てが納得された。タンゴと女性の魅力に万歳!(70歳 女)
『Shall we ダンス?』みたいな映画だと思っていたので巻頭のアクションに驚く。ラストシーンで大笑いするところをシーンと見ている日本人には発想もできない映画だろう。「自由」ということについて考えさせられる。(60歳 男)
タンゴが怒りや情熱、抵抗の踊りだったのに感激しました。(70歳 女)
囚人と家族と看守の三角関係、人物ベースでは五角関係の、表面(言葉、行動)と内面(心理)まで、深読みしたら、キリがないくらいの話だが、それもありかと思う私。(70歳 男)
タンゴの魅力を教えていただきました。(62歳 男)
メチャ、シリアスな展開ではじまったと思ったら、最後はコメディーになるのね! そーか、タンゴは自由なのね。ラストの5人の笑顔がムチャ良かった! サイコー!!(60代 男)
フシギな、非常に面白い映画でした。タンゴはどこかへいき、意外な展開。期待をいい意味でか(?)裏切られ、「なんて映画だ!」と思わず叫びたくなる結末でした。アリスを愛する三人の男達と、息子、これからうまくいくはずがない。でもHappyを祈りたくなる。(57歳 女)
『天使の分け前』の時も思ったのですが、日本の罪への感情とヨーロッパのそれとは根本的に異なるのではないでしょうか? ストーリーには断片的に様々な要素が盛り込まれているようです。タンゴのパーカッシブな解釈はとても面白かったです。個人的にはあのダンスシーンをもっと長く観たかったですね。(53歳 男)
全く予想のつかない展開と結末に驚きでした! いやー面白かった! なぜかソーカイです。これもラテンのリズムの成せるワザ?(53歳 女)
人生を棒に振ってまでの愛かぁ。映画だからあるのか? 本当にあるのか? 私はかけ引きしてしまうな。(48歳 女)
静かにみんなが人間味をとり戻していくのがよかった。思いつめた日々が、思いもしないことで脱出できるのか爽快でした。(女)

タンゴに浸りたくてきました。不思議な印象が残る映画ですが、面白く見ました。牢にいる男の人たち、すごい踊り手ですね!(70歳 女)
ストーリーとしては、良かった。ただしおとぎ話として読み取りました。(70代 男)
日本人には??と思うところがある。南米のカラッとした血のせいかしら? 人間は孤独で、だから、情熱とか愛とかを求めるのだろうか。(66歳 女)
もっとタンゴが前面に出た、感動のドラマやと思ったが、そう来るか!というラストやけど、まあいいか。何か立場や常識の垣根が非常に低い、素直な人間のドラマでした。(65歳 男)
タンゴの踊りとタンゴ音楽が良かった。(65歳 男)
今回は二度目で、ようやく喜劇だということがわかりました。結末はどうなるのかわからないけど、楽しく見ました。おどることは誰でも楽しめるものだとあらためて思いました。(63歳 女)
それが人生さ。おもしろい映画だった。(62歳 男)
テアトルで観ていたので二度目ですが、一回目とは違い、深い所まで観ることができて良かったです。たかがダンス、されどダンス。タンゴにかける情熱は恋愛を超えて、人生そのものですね。命がけの一曲に心が痛みます。アリスを囲む四角関係はどうなるのでしょうか。これに比べて、元映で観た『白夜のタンゴ』はのどかで、お国柄でしょうか。(61歳 女)
こういう結末とは…全く予想外の展開でした。役者さんは各々の役にとてもはまっていて、さすがだと思いました。ものすごく人間臭さを感じました。(60歳 女)
映画に色々な見方があるように、作り方にも色々あっていい。この映画のように「なんでこうなるの」を連発されると、ついて行くのが大変と思う。でも、緊張する画面と音楽、登場人物たちの真剣な眼差し、所作には何事かがあるのかと思いをめぐらしながら見た。ラスト、自動車に乗り込んだ5人の笑顔がそろって、これが「タンゴ」かこれが「リブレ」かと落ちを見た感じ。まあいいか。(59歳 男)
日本人にはわからないラストでした。こうくるのか? 意外にも男性の純粋な愛が見えてくる。ハチャメチャな中でアリスがとても魅力的すぎる。(61歳 女)
予想外の展開にびっくり!! もしかして主役はタンゴなのかな?(61歳 女)
重たかった。あのように複数の男を愛することができるのは、いったい何なんだろうか? 女になってみないとわからないことなのか、とつくづく思った。(53歳 男)
タンゴのシーンがかっこよかった。ラストは意外だったけど、映画だからいいのかなと思いました。(42歳 女)
あの後、三人の男と一人の女(と一人の男の子)がどうなるのか気になります。(41歳 女)
意外な終わり方でした。主人公には共感できなかった。その他の人物の描き方はよかったと思う。(女)
変わった映画ですね。まじめな人はダメだと思うけど、私はおもしろいと思ったので。もう少しタンゴを多く見てみたかったと思うのでマイナス一です。「現実」じゃないので(これでは困ります)「おとぎ話」だとすれば許せます。(女)
おどろきのラストに笑うしかない、と思ってしまうが楽しめた。男同士のダンスシーンはカッコよくて…。登場人物のひとりひとりの個性がうまく描かれている。優れた俳優たちだ。

上映に先立って、会を代表して説明する人の服装、態度はひどく、観客に対して失礼です。会の品性を表しています。観客並の服装、態度を望みます。(75歳 男)
タンゴの踊りが、人々の心に何かを与える→私の経験した事のない内容だったので、ストーリーからも伝わって来るものがよくわからなかった。ゴメンなさい。(67歳 女)
見終わって、バカバカしい筋立て!と思いつつ、あんなに自由奔放に(感情の赴くままに)なれたらいいな、とも思った。それはタンゴの力??(64歳 女)
最後まで煮え切らない態度をとっていた、ある意味主人公らしからぬJCがラストに取った行動にはただ呆気にとられた。あれは一体なんだったのか…。(26歳 男)
男と女の愛の形、結婚の形も本当は正解はないのかもしれないが、私には難しく考えさせられた映画でした。(女)

『タンゴ・リブレ』という題名で見たが、タンゴとは無関係のB級作品だった。本当のタンゴ映画を見たい。(70歳 男)
凡人の私には理解できない展開の映画です。①囚人と家族のオープンな状態での面会。②刑務官がだらしない。③夫と浮気相手の男性および妻が仲が良いこと。(60歳 男)
最後は痛快だった。デジタル映画がかけれて、見たい映画が増えそうで期待大です。(52歳 女)
んー。もっと素敵なタンゴが見たかった。どうにも感情移入できない。久しぶりに腹が立つ映画。(50歳 女)
意外な人物設定と物語の展開に(?)ついて行けない面があった。タンゴ等踊りには人間の生きる原点があるとは思うので、監獄でタンゴにはまっていく人達〜人間らしさを取り戻して行っているのだろうか?(女)
題名のイメージとかけ離れ、びっくり。

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