シニア、学生でない一般の方は事前予約(電話又はメール)で当日1,700円が1,300円になります。

 ■マスク着用をお願いします。
 ■時節柄、体調の悪い方の参加はご遠慮願います。



©Bruce & Marth

市民映画劇場12月例会(第570回)『ハード・デイズ・ナイト』         

 原題:A Hard Day’s Night
 監督:リチャード・レスター
 出演:ザ・ビートルズ
 1964年/87分/イギリス・アメリカ

モノクロ映像に焼き付けられた 弾ける魅力&珠玉の楽曲
 ザ・ビートルズ、色褪せることなき 輝きのとき

 2017年夏、神戸アートビレッジセンターに例会場を移行して2回目の9月例会で、ロン・ハワード監督の『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK』(16)を上映しました。各回百人超の場内では、曲に合わせて口ずさんだり、足でリズムを取ったりしている人も多く見受けられ、まるでコンサートを疑似体験しているような高揚感がありました。
 『ハード・デイズ・ナイト』は、1964年に公開されて以来、いまだ音楽映画の傑作として語られるザ・ビートルズの初主演映画です。旧邦題『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』をつけたのが当時配給会社にいた水野晴郎氏というのも有名な話ですが、昨年、初公開から55周年ということでリバイバル公開されました。

【ストーリー】
 常に熱狂的なファンに追いかけられながら、コンサート会場とホテルを移動して仕事をこなすザ・ビートルズ。今日も追いかけて来る熱狂的なファンの群を振り切り、列車に飛び乗るとポールの座席には、なぜかポールの祖父が座っていた。仕方なく行動を共にするが、祖父の悪戯でトラブルが続出。リンゴはそそのかされ、公開テレビ番組での収録があるにもかかわらず、カメラ片手に街に飛び出してしまう。本番まであと数十分、ジョン、ポール、ジョージの3人は、戻ってこないリンゴを探しに行く。本番まであとわずか、果たしてビートルズの4人は無事ライヴを行うことができるのか…。

遊び心ある演出&映像
 世界的な成功を手中に収める直前、ハードなスケジュールをあわただしくこなしていくザ・ビートルズの一昼夜。当時20代前半だった瑞々しい4人が画面で弾んでいます。鋭い感性に豊富なウィット、そして反骨精神に溢れるジョン。甘いマスクにチャーミングな雰囲気と裏腹に、器用なしっかり者のまとめ役ポール。一見素朴で控えめに見えながら所々に尖った皮肉屋の一面を覗かせるジョージ。穏和で剽軽なムードメーカー、しかしその裏に最も繊細な内面を隠し持つリンゴ…(所謂パブリック・イメージかもしれませんが)それぞれのキャラクターが、テンポ良い演出の中で鮮明に浮かび上がっています。その彼らの後を追いかけ、ツアーに同行するカメラ映像は、楽屋にお邪魔したような気分を味わえます。
 冒頭から遊び心満載な映像には、列車の個室やホテルのバスルームなどの鏡やモニター画面が効果的に使われており、カメラワークに注目してみると、4人の「脱走」―階段を駆け下り、路地を疾走、空き地ではしゃぐ―シーンで、地上のみならず、上空からの大胆なカットを入れて、解放感溢れるものとなっています。一方、4人が警察官に追われるシーンでは、サイレント映画のようにカメラを固定して撮影し、ドタバタ感が演出されています。

英国気質コメディ&熱いライヴ
 アメリカからイギリスに渡ってピーター・セラーズなどの短編コメディを作っていた監督のリチャード・レスターは、脚本のアラン・オーエンとともに、アメリカでそれまで量産されていたミュージシャン映画のメロドラマといったスタイルを踏襲せず、イギリス気質のあるコメディ作品にしようと考え、ビートルズがビートルズ自身の風刺劇を演じるという作品となりました。4人は演技というより本人としてさらりとカメラ前にいる感じで、マネージャーのデコボココンビと、怪しさ溢れる「ポールの祖父」が活躍(迷惑?)します。
 演奏や取材、撮影等々に追われ、ファンや記者に追いまくられ外出もままならない日々に閉塞感を抱き、また、さまざまに関わり合う大人達に対して違和感を抱いている4人の本音を代弁するように、「祖父」が「移動とホテルの往復ばっかり。こんな生活耐えられない!」と愚痴り、そして、「お前そんなんでいいのか?人生を楽しめ」とリンゴをそそのかすのです。
 拗ねた演技が絶賛されたリンゴの外歩きのシークエンス、そして公開ライヴへ―。客席には4人を「追っかけ」、熱狂するファンたち。エキストラで集まったのでしょうが、現場の熱量は如何ばかりだったか。 興奮した女の子の頬や鼻の頭が赤らんでいるだろうとモノクロ画面でもわかります。映画がコケた場合を考えて低予算のモノクロ撮影となったそうですが(結果は大成功)、今や、演奏される楽曲の数々とともに、古典的な趣さえ楽しめる、色褪せない一遍となっているのです。
 ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ、スーツ姿の4人が仲良く奏で、歌い、弾ける。世界のアイドルの輝きの瞬間(とき)を焼き付けたスクリーン。ドキドキ、ワクワク、またはしみじみと見つめながら、珠玉のビートルズ・ナンバーに浸りましょう。
(ゆ)

【全編に流れるビートルズ・ナンバー】
本作での使用楽曲は、ジョージ・ハリスン作「ドント・バザー・ミー」を除き、いずれもレノン=マッカートニー作。下記※印4曲を除くすべての楽曲は映画と同名のサウンドトラック盤に収録されている。

ア・ハード・デイズ・ナイト(A Hard Day’s Night)
 ヴォーカル(以下V):ジョン・レノン(主部)、ポール・マッカートニー(中間部)
恋する二人(I Should Have Known Better)
 V:ジョン・レノン
アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン(I Wanna Be Your Man)
 V:リンゴ・スター
 ※イギリス盤公式アルバム2作目「ウィズ・ザ・ビートルズ」収録。ローリング・ストーンズに提供した曲
ドント・バザー・ミー(Don’t Bother Me)
 V:ジョージ・ハリスン
 ※上記アルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」収録
オール・マイ・ラヴィング(All My Loving)
 V:ポール・マッカートニー
 ※上記アルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」収録
恋におちたら(If I Fell)
 V:ジョン・レノン、ポール・マッカートニー
キャント・バイ・ミー・ラヴ(Can’t Buy Me Love)
 V:ポール・マッカートニー
アンド・アイ・ラヴ・ハー(And I Love Her)
 V:ポール・マッカートニー
すてきなダンス(I’m Happy Just To Dance With You)
 V:ジョージ・ハリスン
 リンゴのテーマ(Ringo’s Theme)
 ※ジョージ・マーティン(プロデューサー)によるオーケストラ・アレンジ版。アメリカのサウンドトラック盤「A Hard Day’s Night (United Artists)」収録
テル・ミー・ホワイ(Tell Me Why)
 V:ジョン・レノン
シー・ラヴズ・ユー(She Loves You)
 V:ジョン・レノン、ポール・マッカートニー
 ※オリジナル・シングル4枚目